Saturday, 6 January 2018

言い方と言う相手。ということだ。


12月23日から1月3日まで日本へ一時帰国。
あっという間で、会う、買う、食べる、しかしていない。
忙しいのと、日本の電車の走り方が滑らか過ぎて
「電車で寝る」という日本人の行為のメカニズムが解った気がする。
座席が暖かいというのは、もう不可抗力です。

ということで、いつものSwiss airのチューリッヒ経由。
お金がある訳ではなくて、
お金が無くても買える時期に買っているだけ。。

そして単純に、
チョコが貰えるとか、
白ワインとビールの外身が欲しくて飲みたくないけど飲むとか、
後ろに置いてあるお菓子が好きとか、
乗り遅れた時にドーハとかパリに降り立つのが怖いとか、
オタクの小学生みたいな動機なだけ。


行きの飛行機で、通路を挟んで斜め前に
気の強そうな日本人女性とその子供が座っていた。
出発して暫くした後、いきなりスクリーンがブチッとなって、
その人が子供に見せていた映画が止まってしまった。
周りも一瞬騒ついていたものの、
その人の「どうなってるの!?信じられない、何とかしてよ!」感がすごくて、
あの人めっちゃイラついてるなぁ〜と思って見ていた。
明らかに全員のスクリーンが止まっているのに
リモコンをガチャガチャ、ガチャガチャ。
映画に対する気合いが凄いっす、姉さん。

その後、その人の後ろに座っていた大きな外国人男性が
座席を立つ度にその女性の背もたれに掴まるので、
座席を揺らされたその女性が
物凄い睨みを利かせて大袈裟に振り返るのに
その男性は既に立ち上がっていて気づかない。
という場面を数回目撃した。

更にその後、その女性のイヤホンの接続が悪かったらしく
日本人の乗務員がテープを持って来て謝りながら補強をしていた。
女性、最高に不機嫌そう。

というのを見て暇を潰しながら、
隣が運良く、
田舎から来たベジタリアンの
素朴なスイス人のおじさんだったので、
ほのぼのお喋りをして無事成田へ到着。

アメリカの語学学校で知り合った奥さんが日本人で、先に帰国しており、
日本橋の近くのバス停まで奥さんが迎えに来てくれる、
というおじさんと入国審査の所で握手してお別れ。

そんなこんなで、今度は帰りの飛行機。
隣の席が、ブラジル系っぽい感じのクリクリ頭の青年だった。
窓際に座る青年は、感慨深そうに窓から何もない成田の風景を見つめ、
離陸後間も無く、まだ機体は上昇中で斜めなのに、
リュックから「氷結」の缶を取り出し、
成田の風景をおつまみに一人晩酌を始める。

「氷結って!」と思ってちょっと面白かったけど、
他人の感傷モーメントを邪魔してはならぬ。と思って無言。

その後シートベルトサインが消え、通りかかった日本人の乗務員が氷結を発見。
「お客様すみません、残念ながら当機内ではこちらが提供する
アルコール飲料しかお飲み戴けません」と言ってきた。

青年は悲しそうな顔をしながら
「ごめん、知らなかったんだ。でもこれがこれ(氷結)を飲める
最後の機会なんだ。
日本にしかないものだから、スイスでは飲めないんだよ」
と懇願。
結局乗務員は外人には強気でいかなければ!といった感じで
「アイム!ベリーソーリーっ!バット!ユーカーントっ!」
と口調を荒げ、青年はあと三分の一くらい残った氷結を断念。

その後提供されるアサヒスーパードライを
これでもか、というくらい飲み続け、
数時間後には酒臭い体臭が放たれていた。
トイレに立つ度に「すいません、トイレ」と日本語で言うので
恐らく暫く日本に滞在していた人で、日本が楽しかったんだなぁ。
と思ったけど、酒臭かったので話しかけないことにした。

そんなこんなで帰りは映画で暇を潰そうとイヤホンをさすと、
今度は私のイヤホンの接続が悪く、
指でずっと押さえてないと聞こえない。という状況。

あ、そうだ、私もテープを貼ってもらおう、と
行きの怒れる女性事件を思い出し、
乗務員の人にテープ下さいと言う。

やってきたのは日本人女性の乗務員。
最初から「私急いでるんです」って感じの人だった。
幅1cm位しかない紙のヘニャヘニャなテープ2枚を
サッサとイヤホンにつけて帰って行った。

聞こえるようになったので、
久しぶりにHolidayを観て、丁度イギリスに留学していた頃の、
イギリスが舞台の映画だったから、昔大好きだったなぁと
青年が氷結を飲みながら何もない成田の風景を見つめる気持ちが
よく分かる気がする。と思ったりしながら眠りにつく。

数時間後、青年に「すいません、トイレ」と起こされ、
青年が狭い座席を通り抜け、席に戻ってまたアサヒを飲み始めた時、
私はイヤホンを固定していたテープが、
私の席を通り抜けた青年によって切れてしまったことに気づく。

また音が聞こえなくなったので、
乗務員呼び出しのボタンを押すこと暫く。
何故かみんな忙しそうで、全然止まってくれない。
私は暇だったので、まぁ気づいてもらった時に来てくれればいいや〜。
と特にワザワザ乗務員に声をかけるでもなく
指でイヤホンを抑えながら気長に待っていた。

すると、恐らく乗務員を取り纏めている一番偉いっぽい
見るからにサービス業大好き、みたいな笑顔のおじさん乗務員が
後ろから自分の持ち場へ向かっているらしい途中で
私のランプに気づいてわざわざ戻って来た。

「イヤホンの接続が悪くて、さっき他の乗務員にテープもらったんだけど
切れちゃったから、もう一回テープが欲しいんです」
と普通に説明しただけなのに、

「Oh〜、それは申し訳ない。すぐに日本人スタッフに
新しいテープを持って来させます(何故日本人限定なのかは不明)。
こんな長時間のフライトでこんなことになってしまって
嫌な思いをしたでしょう。
混雑しているから他の席に移動することも出来ないんです。
他のイヤホンは試してみましたか?
今メモを残すので、到着後すぐに技術さんに直すように指示します」

と、めっちゃ申し訳なさそうにされて、
いや、そんなに嫌な思いはしてないんだけどな。と思いながら
「ok, ok」「No problem」を連呼し、
「全然大丈夫ですよ。他のイヤホンは試してないけど、
この感じは多分受け口の問題じゃないかと思います」
と言っておいた。

その後、最初の人とは別の日本人乗務員がやってきて、
布のガムテープをくれた。
何故最初からこっちのテープをくれなかったのか。
と思うほど、一発で改善。

快適にエマワトソンの映画を観る。
エマワトソンは私の留学していたOxford出身で、
留学中にスタバの二階から、道の人だかりを覗き込んだら
本物のエマワトソンがいた。
ということがあったイギリス留学を思い出す人物。
ということで、今回はイギリスを思い出す映画の旅。
と思いながら観ていたら、
おじさん乗務員が再度やって来た。

「聞こえるようになりました〜」と言うと
「今回は本当に申し訳ございませんでした。
長旅で不快な思いをさせてしまったのに、
嫌な顔せずにいて下さってありがとう。
先ほどシステムにこの件を入力したので、次のフライトでは
この様なことは起こりません。
こちらはほんのお詫びです。
こんなことが起きたけど、また私たちのフライトを利用して頂けると
とても嬉しいです」

と言って
クレーム対応用なのであろう
Laderachのチョコと、
Swiss airの割引券的なものをもらった。


いや、むしろこっちがありがとうなんですけど。
という嬉しいサプライズ。
全然怒ってないし、怒った言い方もしてないし、
たかがイヤホンだし、
結局テープ貼って聞こえてるんですけど〜。
みたいな。

チョコを見せられた瞬間、
イヤホン不調でラッキー!
青年よ、テープ切ってくれて、ありがとう。
と思ってしまった。

その後このおじさんが軽食のオニギリを配っていた時、
「おにぎり〜、おにぎりっ!、おにぎり〜、おにぎりっ!」と
嬉しそうに配っていたりとか、
日本語で挨拶する姿を見ながら、
おじさんはきっとサービス業も好きだけど
普通に日本人が好きなんだろうなと思った。

そして行きの女性の様にブリブリとイヤホンのクレームをつける人もいる中で
(女性は私より怒っていたのに何ももらってなかった笑)
「怒って言わなかった」という割と普通のことが
おじさんの日本好きな心をくすぐり、
更に、「一番偉い人」というおじさんの立場的に可能であった
「大盤振る舞いなお詫び。」に繋がったのかな。と思った。

飛行機を降りる時に出口でおじさんと笑顔でお別れの挨拶をし、
乗り継ぎ便が遅延でヘロヘロになりながら帰宅。

帰った瞬間、嬉しくて早速Laderachを開封。

(すぐに食べたすぎて、全体の写真がブレて暗いのしかないっていう状況)

中身が素敵すぎて喜びを独り言で語り続けながら、
美味しく頂戴する。


Decoupageが個人的に凄いツボなので、
Laderachのお店に行く度に、
「高いけど買いたい。でも食べたら一瞬。うぅ〜」
と結局他の物にお金を使うことにし、
一度も食べたことなかった
それっぽい牛のプリントチョコも、


エーデルワイスのプリントチョコも、
そしてSwiss air限定と思われる飛行機のチョコも、
思いがけず貰えてしまった〜!
(写真右上は、我慢出来ずに写真を撮る前に食べてしまっている形跡(笑))

きっともし次回同じ様にイヤホンが不調だったとしても、
テープ貼って聞こえる程度では
こんな物は普通は貰えないんだろうなと思う。

自分もサービス業が長かったので、
接客をしている人も人間。ということは良くわかっているつもり。
何かあった時に、自分の言い方、誰に言うのかということ、
そして言った相手と自分の波長みたいなものがあるよなぁ。
と思った出来事だった。

自国でリラックスした後、
ブダペストで再度戦いの火蓋が切られる前に
スイスにホッコリさせられた帰路だった。

そして、どうでもいいんだけど、
ブダペスト~チューリッヒ間のフライトに
毎回乗っている添乗員がいる。
タンタンが黒縁メガネかけたみたいな青年添乗員。
ドイツ語を話す彼は、
実はハンガリー人だからいつも同じフライトに乗っているんだろうか。
と、気になる存在。









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