Monday 25 September 2017

日本人男性の「間」。


この間ウィーンに電車で行った帰り、
駅のカフェで時間を潰していた時のこと。
聞き馴染みのある「偽R」を多用した英語が聞こえてきて、
店員に何度か聞き返されてた後、
二つ先のテーブルにアジア人の青年が座った。

どうやらスイーツ男子 + クチャ男くんの様で、
クチャクチャ音を立てながら、
「フンフン、こっちもイケる。これも!」と
聞こえてきそうな食べっぷりでケーキを2個
同時に瞬時に完食していた。

この「偽R」、勝手な見解だと、
「私英語話せます」ってプライドありそうな感じなんだけど
割と通じない英語になっちゃっている人に多い
日本人特有の喉の使い方から成る
RになりきってないRだと思っている。
しかもこれを使うのは、割と男性に多いと思っている。
本当はRが出てこない言葉でも
取り敢えず日本語よりも、まろやかな音にしとけば、
それっぽいでしょ。みたいな。
(私も他人のことを言える様な英語は話さないけど
その分過度なプライドも無いつもり。。)

結構女の人って間違えを気にしなかったり
表情とか他のことでも伝えようとするからなのか
カタカナ英語しか出来なくとも、
バリバリのカタカナ英語でシンプルに伝えるので、
結構会話が成り立っていることが多い気がする。

そんな、恐らく日本人の青年の「偽R」たっぷりの
やり取りを聞きながら、思い出したことがあった。

私はスペインのサラマンカで7ヶ月スペイン語を学んだ後
2ヶ月だけバルセロナの別のスペイン語学校へ通っていた。
バルセロナに移った頃には既にB2の試験勉強も終えていて、
試験は受けてないけどB2終了前後のレベルという中途半端なレベルだった。

「あなた丁度B2とC1の間な感じだけど、どうする〜?
B2はもうやったかもしれないけど、C1より大事な文法が沢山あるし
C1って難しい語彙とか中心だからB2もう一回やってもいいと思うけど。」
と言われ迷った挙句、
どうせバルセロナは勉強というより
住んでみたかっただけのオマケだったので、
記念にC1を受けてみることにした。

C1と言っても、母語がスペイン語に近い
フランス人、スイス人、ブラジル人のマダム達しかいなくて、
母語を直訳して適当に喋ってるけど通じてる。
みたいな割とレベルが低い感じで、
確かにB2のクラスにいたロシア人とかの方がレベルが高い感じだった。

授業も「眼科」とかの「目の医者」って言えばやり過ごせる様な語彙や、
そういう状況ってあんまり無いですよねっていう時に使う文法とかで
確かにB2をもう一度おさらいする方がスキルアップになりそう。
という感じだった。

授業もそんなに面白くないし
クラスメイトは家庭があるので時間が合わないし、
そもそも性格がきつそうで合わなそうだった。
ということで参加した課外授業で
とあるA2のクラスの子たちと仲良くなった。

このA2のクラスの子たちは、
C1のマダム達より年齢が近く、その後よく皆でランチをしていた。
ある日、その中のドイツ人の女の子から質問があった。
それは同じA2のクラスにいた日本人の男の子について。
彼は、「ザ・良い青年」という感じで
大人しそうな感じだった。
でも建築を学びに来ていて、芯は熱い感じで
「サグラダファミリアの主任彫刻家として有名な外尾悦郎さんに会いに
サグラダファミリアへ行ったらタダで入れてもらって
裏を見せてもらった。
でも外尾さんは結構鼻高そうな感じだった」
みたいなことを目を輝かせて話してくれたことがあった。

そのドイツ人の女の子が言うには、
先生やクラスメイトに何か質問された後に、
この男の子が何か言うまでに必ず「間」があるのだそう。
この「間」は一体どういう意味なの??
と興味津々の真顔で聞かれた。
その質問を隣で聞いていた中国人、ブラジル人、アフリカ人の
女の子たちも加勢してきて
「そうそう、毎回そうなの!あれは一体どういう意味なの??」
と聞いてきた。

現場を見ていないから推測の域だけど
その男の子の感じからして
単に答えを考えてる「間」なんだろうと思い
「日本人は話す前に考えるから、考えてるんじゃない?」
と説明をした。

そのドイツ人はあまり納得しておらず
「でもあなたと話す時に、あなたには「間」がないじゃない?」
と言っていた。

そう言われてみると、
自分だったらそこまで不自然な「間」が出来る前に
分からないとか考えてるとか相手に通じる様な
表情なり音なりを発していそう。
でも何かあの大人しそうな青年がクラスで
分からないけど間違えたくない時に
姿勢も表情も変えずに「間」を作っているのが
容易に想像出来た。

私の会社にハンガリー人に対して文化の違いを理解する為の
「日本人とは」みたいな教材がある。
これはハンガリーの大学で日本文化を教えている
社会学の先生が作成したもので、
(日本人に対して「ハンガリー人とは」という逆バージョンもある)

その中に、
「会議中に腕を組んで目をつぶる日本人の中年男性が多く見られるが、
あれは居眠りをしているのではなく、会議の内容に集中して考えているのだ」
という説明があるらしい。
すごい笑える。何その下らなさと真面目さのバランス。
でも考えてみれば、あれも一種の「間」の取り方の違いだよな。と思った。

確かにおじさん達は何で目をつぶるんだろう。
目を開けていたら何で考えられないんだろう。
そして確かにそういう女性って見たことない気がする。

ウィーンからブダペストの東駅に着いて電車を降りると
例の日本人の青年がホームの斜め前を歩いていた。
「うわぁー、なんてボロいんだろう」って感動してるのかなぁ。
と思える位、キラキラした目でキョロキョロしている
ちょっと挙動不審な彼を見て、
日本人男性って外国人にとって
日本人女性よりも遥かに不思議な存在なのかもなぁ
と考えてしまった。

私が外国人に文化の違いを感じる時、
感じ方にそんなに大きな男女差は無いけれど、
やっぱ日本は男女の差がはっきりしている文化なので
文化の違いの与え方にも
はっきりした差があるのかなぁと
勝手な思考を巡らせた鉄道の旅。








Sunday 17 September 2017

東京ミッドタウン


…を彷彿とさせる、
ウィーン中央駅裏手の建物。


なんか懐かしい感。
六本木に見える。
どうでもいいけど。




Sunday 10 September 2017

派手に事故って記事に載る。


昨日会社の前に病院へ行って貧血検査の為に採血をした。
その後、通ったことのない道を運転していたら、
わかりにくい道に出て、カーブを曲がろうとした瞬間、
思いっきり対向車に飛び出した形になって派手にぶつかってしまった。

一瞬ガンっと衝撃が走り、
次の瞬間、化学物質的な匂いの煙が出てきて息が出来ず
目の前を一生懸命手で振り払っているのに
何か得体の知れない物体で視界が開けず意味が分からなかった。
(後で考えればエアバッグだったけど)
10秒位後か分からないけど、
事故にあって、自分はまだ車にいるとハッキリ状況が分かったので
すぐ車から出なければ呼吸困難で死ぬ。
と思ってドアを開けて外へ転がり出る。

相手の車はエアバッグも出ておらず
おじさんも普通の感じで出てきた。
英語の分からない人だったので、
携帯を探すも、車の中でどこかに吹っ飛んで見当たらない。

私の車が路線バスの通る道を完全に塞いでしまったので、
先ずブダペスト交通局みたいな人が車でやって来た。
この人も英語が分からない人だったけど、
私の手の親指の付け根がプックリと腫れ上がっているのを指差して
何か聞いてきたので、どこか打ったか聞かれたのかと推測し
両脚の膝下を打って痛いとジェスチャーで伝える。

やっと携帯を見つけ出し、会社の人にヘルプを頼む。
相手のおじさんはものすごく冷静で
「君が悪いんだから、保険の紙に記入して欲しい。
警察を呼ぶ必要があるか分からないけど」
と言っているらしい。
「車が完全に壊れてどかせない様な状況なのだから、
警察を呼んでちゃんと手順を踏んで欲しい」
と伝えてもらい、おじさんが警察を呼ぶことに。

暫くして交通局の人が呼んだらしい救急車がやって来た。

私の車からは変な匂いの煙が暫く出ていて、
相手の車からは得体の知れない緑色の液体が漏れてきたので
消防車もやって来た。

あっという間に交通渋滞の列も出来上がっている。

私は救急車の中で軽く検診を受けた。
この人は少し英語が出来たけど
会社の人が電話をかけてきたので
この後どうしたらいいか等を聞くついでに
細かい部分を訳してもらった。
でもこの会社の人は新人の女の子で
私以上に声が興奮していて、
私が「一瞬のことだったからよく分からないけど」
と言ったのを記憶を失っている時間があると勘違いし
救急隊の人が「覚えてないなら頭を打った可能性があるから
病院へ連れて行く」と言った。
会社の人に、もう一度説明したけど、完全に興奮していて
私は頭を打って記憶を失くしていると勘違いしたままだったので
せっかくだから検査してもらうことにした。

その間警察も到着し、
飲酒運転の検査を受けて、身分証等を渡す。
「で、君この車どうするつもり?道を塞いで邪魔なんだけど」
と言われた。
それを私に聞いて、答えが出てくると思いますか?
と思ったけど、会社の人がトレーラーを呼んでくれると言ってくれたので
そういうことに。

私は救急車で病院に連れられて行く。
到着した病院は、何とも暗くてボロボロだった。
ストレッチャーに乗せられて
ここで待っていてと言われた場所には
警察に見守られながら、手錠をかけられたまま
ストレッチャーにうずくまって横になっているおじさんがいた。
天井の穴からは変な紐が垂れ下がっている。

連れて行かれた診察室にいた先生は
何故か若い美男美女ばかりだった。
そこで問診を受け、救急隊が私の鞄の所持品から
貴重品が何が入っていたかチェックし、サインさせられる。
(盗んでないよ。の書類と思われ)
いらないレシートとか入っていたので、恥ずかしい思いだった。
その後全身のX線とエコーを取り、ストレッチャーで
移動しているところへ会社の人がやって来た。

ここまで私は割と冷静というか、
頭が回っていないので現実として目に映らないというか
無感情だったけど、
知っている人の顔を見たらやっぱり涙が出た。
そしたら会社の人も涙ぐんでいた。

その後検査結果が出るまで
会社の人に見守られながらストレッチャーに寝かされていた。
その人曰く、この病院は事故専門の病院らしく
事故にあったら連れてこられる場所らしい。
言っている側から、クスリかお酒か分からないけど
奇声をあげているおじさんとか
独り言で嘆き悲しんでいるおばあさんがいた。

なんとも言えない異様な雰囲気に落ち着かないでいたら
会社の人が携帯を見せながら
「あなたフェイスブックの記事になったのよ!」
と笑いながら見せてきた。


救急車を呼んだ交通局の人が携帯で写真を撮っていたのは見たけど
それが記事になったらしい。
真ん中に小さく、途方に暮れている私が写っている。
後ろに写っているバスの道を完全に塞いでいたため
この線のバスは現在停まっているという記事。
その2時間後に、復旧しましたの記事も出ていた。
よく見かけるアレか。みたいな。

その後、先生がやって来て
特に異常は無いので、脚に出来たアザと腫れ部分を冷やして薬を塗るよう言われ
この後24時間以内に吐き気、眠気、頭痛が起きなければ大丈夫。とのこと。
会社の人に薬局に寄ってもらい、家まで送ってもらった。

24時間以上経った今、特に異常はなく、
脚のアザ&腫れが歩く度に痛むだけですんでいる。
(そもそも頭は打ってないはずだけど)

今冷静に振り返ってみると、
自分もそうだし、相手も無事で本当に良かった。
もしかすると来週警察へもっと細かい説明をする必要があるかもしれず、
保険がどこまで効くのかとか考えると恐ろしいけど、
自分も相手も生きてるだけで、良かった。

そしてこんな時にやっぱり家族や親友にすぐ来てもらえる環境ではなく
一人なんだな。と思ったり。
それでも全部手配してくれて、涙ぐんでくれる会社の人とか
良くなりますようにとメッセージをくれたチームの人達や
数少ない友達とか有り難いなと思ったり。

色々と考え深い週末を過ごし中の今日この頃。
安全と健康第一だな。