Sunday 4 March 2018

富士より草団子。



(初日の出に照らされ神秘的なるも草団子に感動を奪われる富士)

数年前に旅行好きな祖母が段々ボケ始めてから
年越しは家族で温泉旅行に出かけるのが恒例になっている。

私がハンガリーに来てからは3回目。
もう今年は祖母も参加出来ない状態ではあったけど
家族で伊豆長岡の温泉で年越しをした。
(そして今更ブログに書く)

全然知らなかったけど、
宿の近くに、伊豆の国パノラマパークという所があって
どうやら富士山が綺麗に見えると有名らしい。

ということで、
元旦に早起きして初日の出を見に行く。
宿の人がロープウェイの下まで車で送迎してくれるサービス。
そしてロープウェイに乗って山の上へ。

こちらが今年の初日の出。
出てきた瞬間、2001年宇宙の旅って感じだった。





 この場所について簡単に言うと、
山の上の開けた所に、
神社、富士見テラス、富士山の見えるカフェ、
富士山を見ながら足湯に浸かれる所、
お土産屋さん、等がある。というスポット。

(神社とテラス)

(足湯から富士山見物中の人々)

(カフェのテラス席から富士山の写真を撮る青年たちと富士山)

初日の出を待つ間、
ハンガリーよりは寒くなかったものの、
やっぱり寒くて、母と私でカフェにお茶を買いに行く。

メニューを見ていたら、
レジ横の炭火鉢みたいなのの周りに焼べてあった、
大きめの三つの団子が串に刺さっているのを発見。
草団子を頼んでみる。

出てきた草団子には桜あんが付いていて、
久々に食べる「よもぎ味の」「団子に」「桜あん」という
三つの感動のツボが一つの串に刺さっているみたいな団子だった。

口に入れた瞬間に広がる
よもぎと桜の風味。
炭火でほのかに暖かく、
何これ、美味しすぎる。
と、一人感動してしまった。

初日の出が見えやすいスポットの場所取りをしていた
父と姉に草団子とお茶を届けに母と戻り、
団子を渡しながら
「この草団子、すんごい美味しいから」
みたいなことを、暫く力説。

家族の反応が、割と普通の
「確かに美味しいね〜」と
素っ気なかったので、
腑に落ちず、

「ただの草団子だけでも美味しいのに、
暖かくて、しかも桜あんが付いてるなんて。
あぁ、美味しかったなぁ〜。
この団子なら何個でも食べられるよ…」

と、ハンガリーでは食べられない
絶妙な美味しさについて
家族の薄い反応を無視して語り続けていたら、
私たちの前で初日の出を待っていた、おばさん二人組が
私が「何個でも食べられるよ…」としみじみ言った瞬間に
バッと振り返って、

「一体この大袈裟に草団子の美味しさを語る
後ろの人はどんな顔してるのかしら」
とでも言われている様な顔で
笑われてしまった。

笑われるまで何も考えてなかったけど、
確かに笑われると
恥ずかしいことを大真面目に口にしていたな、と、
恥ずかしくて、
おばさん達と一緒に笑っておいた。

ということで、
もう一回あの草団子を食べに
この場所を訪れたいと思うナイスな場所だった。

もちろん、
富士山も、とても綺麗に見えたけど、
私的には草団子が美味しいスポットとして記憶された。

そしてロープウェイの柱に
オーストリアの技術により製作みたいなことが書いてあって
知り合いに街中でバッタリ会ったみたいな
変な気持ちになった。

肝心な時にカメラを忘れ、
ショボ携帯のカメラで撮ったのに
割と綺麗に写ったので
ちゃんとしたカメラだったら…
と残念。

ということで、残りの写真。
この、スーッ、ポコッ、スーッという山の風景って
(ポコッが富士山)
確かに珍しいし、
流れる感じが、地形なのに富士山って日本文化っぽいな。
と改めて感じる距離感で富士山が見えた。




また行く機会はあるのかな。
と思いつつ、
また行ってみたい。
と思いつつ。





Thursday 1 March 2018

ユルすぎる先生の話 〜パスタ編〜



ある日、14時からチェロのレッスンで、
14時ちょうど位に先生の家に着いた。

先生はいつもドアを開けると同時に
手を差し出してくるので
握手をしてご挨拶する。

その日、先生は自分の手を見ながら、
「今まだお昼ご飯食べてなくて、
料理中で手が汚れてるんだ」
と言って、握手をしなかった。

レッスンをする部屋ではなく、
キッチンへ通され、
「お腹すいてる?一緒にお昼食べる?」
と聞かれた。

時間は14時だったし、
お腹が本当に全然空いていなかったので、
「ううん、大丈夫、お腹空いてない」と言うと
今度は横にいた奥さんが
「今日は何時にウィーンに着いたの?
着いたばっかり?
じゃあお腹空いてるよね?」
と言ってきた。

「いや、さっき食べたばっかりだから
本当に空いてないんだよ」と言うと
更に先生が
「せっかく誘ってるのに食べないって言うの?」と言うので
(別にそんなに嫌な感じではなく、半分冗談で)
「はい、じゃあ戴きます…」とキッチンのテーブルへ着席。

どうやら奥さんのレッスンが押していたらしく
奥さんはレッスンへ消えてゆく。
なるほど、餌付け作戦か。

「全然オーストリア料理とかじゃないんだけどね〜」
と言って出されたのは、
茹で過ぎっぽいショートパスタの横に
更に茹で過ぎっぽいインゲンが載っているお皿。
両方とも、ただ茹でただけで、味が付いていなさそう。
もしくは塩が振ってあるとか。

そこに出てきたのは、
冷蔵庫から取り出された、
両方とも同じ位ほぼ空っぽのペストの瓶2本。
先生が、「はい、これいる?」と言って
無理やりティースプーンの先っちょ分だけ掻き集めて
私のパスタの上に載っけてくれた。

って全然足りないんですけど。。
と思ったけど、横で同じ位ちょろっとだけ
ペストを乗せたパスタをせっせと食べ始める先生。

ん?これって、そういうものなのか?
と思って取り敢えず食べた。
やっぱりそんなに味が無かったけど。
(割と生地そのものの味みたいなのが
好きな方なので、幸いにも苦ではなかった)

先生はお代わりをし、
私にもお代わりを勧めてきたけど
本当にお腹が一杯で断ると、
「美味しくなかったんでしょ。
別にいいけど、
どう思われようと気にしないから」
と言う先生。

そこに、トイレが出なくて
トイレに篭っていて
お昼に遅れていた9歳の息子が、
結局出なかったらしく
お腹をさすりながらやって来た。

ペストの瓶の蓋を開ける息子。
ほぼ残りカスしか残っていないので、
もう一本の瓶の蓋を開ける息子。
こっちもほぼ残りカスしか残っていないので
大きなため息をついて、肩をすくめ、
呆れた顔で私に何かを訴えてくる息子。

やっぱ、このパスタの味付け設定おかしいよね!
と息子の気持ちが良く分かったけど、
先生は気にせず黙々とお代わり分を食べており、
取り敢えず私は黙っておくことにした。

せめて私にパスタを食べさせなければ
息子にもスプーンの先っちょくらいはペストが残っていたのに。

その後、ほぼ無味のままパスタを完食した息子。
インゲンは嫌いと残したまま
宇宙飛行士のオモチャで遊び始めた。
「こういう野菜食べたらトイレの調子良くなるんじゃない?」
と言うと、照れ笑いしながら結局食べてなかった。

その後「トイレ借りるよ」と言ったら
「ちょっと待って!息子が入った後だから、チェックしなきゃ」
と慌ててトイレチェックする先生に、
「何で!大丈夫だよ!」と言う息子。

そんな二人のやり取りを眺めつつ、
コーヒーも飲みつつ、
奥さんのレッスンが終わるのを待つ。

結局やっぱり長めにレッスンをしてくれるので
その日の先生の家での滞在時間が3時間強になった。

後日、また先生の家に着いたらご飯中の日があった。
その時は前日のハロウィーンバーベキューで
残ったソーセージとイモ。
また「食べる?」と言われたので
「お腹空いてないから大丈夫」と言ったら、
「僕がこないだひどいご飯を食べさせたから
いらないって言ってるんでしょ」
と言われた。

自覚は一応あるのか(笑)
訪問者に出すか否か以前に
息子にも、あれでいいのか。っていう。
栄養素が足りてないぞ。

そんな息子もチェロを習っているそう。
でも最初先生が教えようとしたら
毎回ケンカになるので、
別の先生に習っていて
練習だけ一緒に楽しくやっているらしい。

何でも、息子に一度
「お父さんは僕の父親なんだから、
きちんと僕の面倒を見なきゃダメだよ」
とダメ出しされたらしい。
手厳しいな、息子。
でも自分が息子だったら。と、何となく気持ちは分かる。

チェロ以外に周りは全く眼中に無く、ゆる〜い先生と、
既にしっかり者っぽい息子。
そして、たまにしか話す機会はないけど、
カラッとして気さくな奥さん。

オーストリアにホームステイしたら
こんな感じなのかなぁ、と
チェロを習いに行っているのに
そんな家族の雰囲気も結構楽しみにしていたりする。