Saturday, 10 February 2018

ユルすぎる先生の話 〜名前編〜




私にチェロの先生を紹介してくれた人は
先生とたまに演奏で一緒になるので
何度も先生と会ったことがある、という人だった。

最初にその人に会った時
(というか一回しか会ってないけど)、
川沿いのカフェのテラスで、
アップルストゥルーデルをご馳走になりながら、
先生に電話をかけてくれた。

「もしもし?◯◯だけど、知り合いの知り合いの娘さんで
ブダペストに住んでいる子が
ウィーンでチェロを習いたいらしいんだけど…」
的な感じで(ドイツ語だったから想像)、
先生のレッスンの詳細を聞き出してくれていた。

その横で、
私だけ何を言っているか分からないながら、
パートナーの方と聞き耳をたてつつ
電話が始まって5分くらい経った頃、
その人と、パートナーの人が突然苦笑し始めた。

パートナーの人曰く、
この5分位経つまでの間、
先生は自分が誰と電話しているか
分かってなかったらしい。

分かってなかったのに、
自分は初心者にも教えられるし、
週末でも大丈夫だし、
みたいな話をしていたのだそう。

その後、私が直接先生と話す番になり、
トライアルをしよう、ということで電話を切る前に、
「じゃあ◯◯から僕の連絡先を聞いて、
後でメールしてね」と言われた。

言われた通り、
紹介してくれた人に先生の電話番号を聞き、
Whatsappで先生のメールアドレスを聞き、
メールでやり取りをして
トライアルレッスンへ。

トライアルで自己紹介的な話をした時に
「カクカクしかじかで、
ウィーンでチェロを習いたかったところ、
運良く◯◯さんと繋がって、
紹介してもらったんだよ」
と私が言ったら先生は、

「ところで、その◯◯さんのことなんだけど、
その人誰なの?
どうも誰だか分からないんだよね〜。」
…………。

分からなかったとして、
分からない人が紹介してきた人を
よく家に上げてトライアルするなぁ。
と言うか、結局電話で最後まで誰だか分かってなかったのか。
とビックリ。

私もその人を説明できるほど知り合いではないので、
「え〜っと確か苗字は◯◯だったよ。
ほら、日本人のパートナーがいる人。」と言うと、
「え?何て苗字?◯◯?分からないなぁ。誰だろう。」
年齢とか見た目とか思いつくことを何個か言った後、
「あ〜!!!あ〜!わかった、あの子か〜。
確かによく一緒に演奏するんだよ。」
と言われた。

そんな感じなのに、
この人のトライアルまで辿り着けたのは
ある意味奇跡だった気がする。

実は仲良くないんじゃないか。
と密かに思っていたけど、
数ヶ月後に用事があって先生に電話をかけた時、
「そう言えば、今ちょうど◯◯と一緒でこれから演奏なんだよ。
◯◯って覚えてる?ほら、君を紹介してくれた」
ということがあった。

むしろ、先生が、
私が彼の紹介でチェロを習い始めたことを
覚えていたことにビックリした。

その翌々日にレッスンに行って、
「◯◯さん元気だった?」と聞くと、
どうやらその日、
先生の奥さんが、ウィメンズ・オーケストラ
(名前は多分違う)
のコンサートで、
コンサートマスターをやったそうで、
急遽人が足りなかったとかで
先生と先生を紹介してくれた人が演奏したとか何とか。
ウィメンズ オーケストラに男性二人で乗り込む程の
知り合い度なのに認識されていなかったという謎。

この人ユルそうだなぁ〜、と
最初に認識した出来事だった。









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