Sunday 6 November 2016

赤いマフラー


旅行先からの帰り、空港の搭乗ゲートから、
飛行機までシャトルバスに乗った。

バスの中は、ツアーでブダペストを訪れようとしている
日本人のおじちゃん、おばちゃんで溢れていて、
更に中国人団体客でも溢れていて、
それに紛れてドイツ人らしき人とハンガリー人らしき人がチラホラ。

日本人老夫婦の、
夫婦なのに「◯◯ですねぇ」って敬語使って
縁側的な穏やかな会話が久々に耳に入り
ほっこり。
と思っているうちに飛行機へ到着。
もうすぐバスのドアが開きますというところで、
日本人ツアー客のおばさんが、
既に先のバスで到着していて友人を待っているらしき
アジア人5人を見て何とも嫌そうに言った。

「出たわ、あの赤いマフラー」

よく見ると、そのアジア人5人が全員、
赤いマフラーを首に下げていた。

バスから降り、階段へ向かっている間に
ふと周りに目をやると、
バスに一緒に乗っていた中国人団体客の全員が、
首に赤いマフラーをさげて、
ワーワー言いながら中国人オーラ全開で
階段へ向かっている。

きっと日本人のおばさんは、アジアからの飛行機か
空港内のカフェかどこかで
既に赤いマフラー集団にうんざりしていたに違いない。

と勝手に想像をしつつ、
ふと自分のショルダーバッグに目をやると、
肩掛けヒモに赤いマフラーが縛り付けられている。

しまった。
色だけじゃなく、「マフラー」というアイテムまで
中国人団体客とかぶってしまった。

違います。私中国人じゃないんです。
あの団体客の一員じゃありませんっ!
と心で叫びながら一生懸命オーラを消し、
添乗員さんへは努めて笑顔。
自分の席に着いた途端、
思わずマフラーをリュックに隠してしまった。

飛行機が離陸し、
まだシートベルト着用サインが点灯している中、
フライトアテンダントがマイクで言った。
「席に戻って下さい!まだシートベルトサインが消えてないので
座って下さい。Excuse me! Hello? Hellooooo!」
見ると中国人のおじさんが立っていて、
英語が分からない様で完全に無視をしている。

その後、私の後ろの席の若い中国人女性が
大音量で携帯で中国語のテレビを見始める。

私の隣の席に座っていた、ハンガリー人っぽいけど
フランス語の本を読んでいた真面目そうなおじさんが一言。

「うるさいからヘッドホンしてくれませんか」

それに対して中国人女性が一言。

「This is `i phone 5`!」

え…??

どうやらi phone 5だからヘッドホンがつけられない
と言いたかったようで、
だったらそう説明すればいいのに
機種名言われても意味分からない。

と、ちょっと笑いたかった私と、
半ギレの隣のおじさん。

ほんと、中国人って見ていて飽きない謎の生物。
あの図太さと日本人の繊細さを足して二で割れば
なんだかすごい生き物が完成しそうな気がする。

ということで、
どうやら赤いマフラーは
中国人団体客の目印として使われているらしい。

次回この団体に出会った時は
逆に紛れてみたら面白いのかも。
と思ったり、思わなかったり。







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