Sunday 20 November 2016

ミルクティーへの道


昔、東京の職場で冬の朝に座っていると、
必ず毎朝目の前を物凄くシャイな香港人が通り過ぎていった。

話してる人の目も見てくれず、
表情もあまり変わらない その人。
30秒後に戻って来て、
また目の前を通り過ぎる彼の手には、
必ず小さめの缶に入った紅茶花伝があって、
アチッ、アチッ、って左右の手で交互に持って苦戦している彼の顔が
毎朝同じ様にすんごい幸せそうだったので、
かなり癒されていた。

寒い朝に甘いミルクティーを飲む幸せ。
わかるわ〜。

ということで、
ミルクティーが好きで
飲みたいと思っているんだけど、
家の外でミルクティーを飲むことに苦戦している。

苦戦の理由①「ハンガリーがレモンティーの国だから」
こんなに近くにイギリスがあって、
ケーキとかはゲロッゲロに甘ったるいのが好きなくせに、
何を思ったか、彼ら紅茶だけはスッキリ派らしい。

ということで、カフェでミルクティーを頼むと、
1: 聞き取ってもらえずに、「えっ?」って言われる
2: 「ん?ミルク?入れるの?紅茶に?本気?」と戸惑われる
3: ミルク入れる概念が無いから、熱湯を9分目まで入れられてしまい
カップにミルクに対して残されたスペースが無くなる

って感じで、
最低ミルクを3割は入れて欲しい私は
ハンガリー人のミルクティー作りのスキルの無さに欲求が不満な状態。

苦戦の理由②「カフェラテのアジア人と覚えられている」
朝によく行くパン屋さんで、
行き始めの頃にたまたま毎朝カフェラテを頼んでいたら、
カフェラテのアジア人と認識されてしまい、
最近は店に入った瞬間に自動でカフェラテを作られてしまう。

特によくいる恰幅の良いチャキチャキおばちゃん。
私のことが視界に入ると、
掃除とか別のことをしていても手を止めて、
コーヒーマシンへ向かって行く。

例えば店に着いた時
私の前に3人の列が出来ていたとしても、
私の番が来た時には
カフェラテが自動で完成している状態。

別の店員が私の注文を取っていて
「コーヒーに砂糖入れる?」と聞いてくると
私が返事するよりも早く
「ブランシュガー二つだよ」
と会話に入ってくる。

覚えてくれることは嬉しいんだけど、
ミルクティーが飲みたいんだ今日は。
って言いたいんだけど、
何せ店に入った瞬間に作り始めちゃうから
おばちゃんを止めることが出来ない。

そのやる気と記憶力、
パン屋に留めておくのが勿体なくて仕方がなさすぎる。
この無気力な国に生まれて、
何故そんなにやる気満々に育つことが出来たのか。
そして何故そんなにも私の注文に固執するのか。
(他の客の注文を差し置いてでもコーヒーマシンへ向かっていくことが多い。
外国人だからなのか?)

というような話を会社ですると、
「へー、そんなに美味しいの?」
と言われて全然理解してもらえない。

会社の人たちもまた、
人生で一度もミルクティーを飲んだことの無い人達だから。

流石のイギリス人も
東の方までミルクティーの良さを伝えることは
出来なかったらしい。

ということで最近
「ミルクティー疲れ」という
新種の疲労感に襲われている。







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