Thursday 28 March 2019

お姉さんとの約束 -Casa Amatller -



(現在Casa Batlló外観工事中の為、Google mapより写真を拝借。
今回は左に写っている隣のお家のお話)


8年前初めてバルセロナに着いた時、
バルセロナはガウディの街だと思っていたので
街中に見られるカタルーニャのモダニズム建築や装飾を見て
ガウディがすごいから、皆が後を追って同じような様式が
街中に広がったのだと勘違いしていた。

その後色々と訪れる度に
ガウディもあくまで、大勢の中で少し変わった人だっただけで
バルセロナの街の凄みを作っているのは
その当時の風潮や文化なんだなということが少しずつ分かってきた。

特に今回、ガウディが影響を受けたグラナダのアラブ様式の建物を
多数訪問後に幾つか未だ行っていなかったガウディの建物を訪問したので
逆にアラブ文化の凄さとか、当時のバルセロナの
街の一体感に対する感心の方が大きくなった気がする。

アルハンブラに行ったことのある人であれば
Casa Vicensのタバコ部屋の天井に
あまり感動出来ないのではないかと思った。

そんな中、先日Casa Batllóの前を歩いていたら
いつもCasa Batllóと一緒に写真に写っているものの
実際何の建物か知らなかった隣の建物の前に
前は無かった様な気がする
カフェのメニュー表示が立てられているのに気づいた。

ザ・観光客向けっぽいメニューだったので
Casa Batllóの訪問者向けにカフェを作ったのかなぁ〜と素通りしていた。

その後どこかで、そのCasa Batllóの隣の建物の
訪問案内パンフレットみたいのを見かけて
あ、建物の中も入れるのか〜と思って
フラッと行ってみた。

お隣のCasa Batllóは相変わらずの長蛇の行列なのに
入ってみたら誰も並んでおらず
15分後にオーディオガイドのツアーが始まるとのことで
入場券(EUR 19)を購入。
その後1階のカフェに入ってくる人はいるものの
建物のツアーに参加する人は
フランス人老夫婦と、国籍不明の女性と
小さい男の子を連れたお母さんだけ。

外装から見るに結構内装も良さそうだけど。
と思って入ってみると、
すごく綺麗で雰囲気のある建物だった。

名前は、Casa Amatller。
チョコレート業で成功したおじさんが作らせて、住んでいた建物。
彼は早くに奥さんと離婚し、一人娘が一定の年齢に達するまでは
元奥さんと別の住居に住ませ、チョコレート業(?)を後々継ぐために
ある程度の年齢になった後は彼と共に住ませるという契約のもと
この素敵な家に一人娘と住んでいたそう。
(仕事場でもあったらしい)

その後、彼が亡くなり、一人娘が一人で暮らしていたものの
建物の素晴らしさを守る為
プライベートの財団?基金?を作り
彼女の死後、アート系の図書館として入ろうと思えば
誰でも中に入れたものの、あまり存在を知られないまま
4年前に遂にミュージアムとしてオープンさせたそう。
(現在も図書館としての機能は残っているものの、
上層階へお引越ししたので、素敵な内装部分では
本の閲覧は出来ない状況に。8年前に知ってたら。。)

ツアーの最後にフロントに預けていた荷物を取りに行ったら
「どうだった?」とガイド兼フロントのお姉さんが聞いてくれたので
「すごく良かったよ!こんなに素敵な建物なのに、お隣のガウディが
長蛇の行列で、こっちはガラガラなのが理解不能だけど。
ところで、ここはいつから一般公開してるの?
8年前は中に入れなかった気がするんだけど。。」
と聞いたところ↑↑↑の話を教えてくれた。

そのお姉さんが熱心な人で、
一人娘が公的な財団(基金?)ではなくプライベートにした理由は
フランコ体制下で沢山の歴史的建築物が味気無いビルに作り変えられていた
情勢だったので、この建物だけは守りたいという
娘さんの想いで、フランコの圧力がかかり難い様に
プライベートにした、と教えてくれた。

「本当に彼女がちゃんとした選択をしてくれたお陰で
こうして素晴らしい建物が残ったんだから、本当に良かったよ!
隣は世界のガウディだし、こっちは未だミュージアムになって
4年しか経ってなくて知名度も低いからしょうがないけど。
貴方が皆に良かったよ、と言って宣伝してくれたら
今後はもっと皆が来てくれる様になるはず!」

と熱く語っていた。

ので、「分かった、宣伝するね!」と言って
お別れをした。

ということで、お姉さんとの約束を果たし、
ガウディ以外の素晴らしい建物も皆に見てもらって
費用を回収することにより、
より長くこの建物が引き継がれていく様に、ここで宣伝。

とは言っても
私のタラタラした文章では
魅力が伝わらないと思うので、別記事で写真をアップすることに。

この建物の一階奥にはカフェとお土産店が併設されており
カフェは残念ながら安っちい感じだったけど
テラス席から隣のガウディの柵がチラ見できる感じだった。
そしてお土産店では、Amatllerのチョコレートが購入出来る。

因みにミュージアム入場券のEUR 19には
このチョコレート店のホットチョコレートと
チョコレートに浸しながら食べるトーストの券が含まれていて
ミュージアムを見た人だけ座れる
一階のホール部分の席で食べることが出来る。

ツアーは、i padによるオーディオガイドだけど
お姉さんと一緒にグループでないと中に入れず
繊細な床を守る為、靴カバーをして中に入ることになる。
ツアーは日本語は未だ無いようで、
英語、スペイン語、カタルーニャ語、フランス語くらいだった気がする。
とは言えCasa Batllóの隣なので、
地図とか調べる必要も無く、隣のガウディさんを訪問後
是非こちらも訪れて欲しいと思った次第。


https://amatller.org/la-visita/informacion-practica/










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