去年の夏、日本への一時帰国から戻る際に
ヘルシンキ乗り継ぎが7時間あったので
市内をサクッとプラッとして来た。
その時に、何か聞き覚えのある音がする!
と思って考えてみたら
信号の歩行者用ボタン機がウィーンと同じ音を発していた。
近くに行って見てみると
デザインも同じ青と黄色の見た目。
どこのメーカーなのかなぁと観察してみたら
「Sweden」の文字が。
このボタン機のどこがボタンなのか
オーストリア人の知人に教えてもらうまで全く分からず
色んな場所を押しまくっていたのだけど
結局ボタンっぽい飛び出ている部分ではなく
青の側面の壁?をトンっと押すのが正解。
そんな分かりにくいボタン機なのに
人気らしいのが不思議。と思っていた。
今回スウェーデンに行って
そんなことすっかり忘れていたけど
やっぱり同じ耳馴染みのある音が聞こえ
あ、そうだ、スウェーデンのボタン機なんだから
スウェーデンでは設置されてるはずよね、
と思ってチェックしたら、やっぱり同じボタン機だった。
と、ボタン機のことを考えると
思い出す小話がある。
もう数年前の話だけど
電車に乗ってスイスのドイツ語圏の何処かから
ジュネーブに向かっていたんだと思うけど、
途中駅でザ・スイスのお父さん的な
細身で筋肉質で山登りの格好をしたおじさんに
「隣の席空いてますか?」と聞かれた。
空いてますと伝えると、
彼の孫と思われる少年と、盲目の黒人男性と共に
私の周りの席に座り
盲目の男性に英語で話しかけ始めた。
通路を挟んだ斜め向かいには同じ様に山登りの格好をした
おばさま達が座っていて
たまに通路越しに全員一緒に話をしていた。
(私は盗み聞き)
話の内容からして
盲目の男性は最近ローザンヌに住む様になったらしく
おじさん一家は別の街に住んでいるものの
何かのボランティアか登山グループなのか
その日一日、どこかの山に一緒に登った帰りらしかった。
おじさんが盲目の男性に
「Lausanneの暮らしはどうですか?目が見えないとどんな感じか
私には分からないけど、困ることとか無いですか?」
と聞くと男性は割と上手くやっている様な返答をし
目が見えない中で、どうやって街を歩くか説明していた。
「横断歩道に着くと、信号が青の時に音で知らせるものが多いけど
音だと、どの方向の信号機が青なのか分かりづらいんです。
その点スイスの歩行者用ボタン機には下部に信号が青の時だけ
振動するボタンが付いていて、それに手を当てていれば
行きたい方向が青だと分かり易くて良いんですよ」と。
おじさんが「へぇ〜、それは知りませんでした!」と
トリビアのボタンを押している様な返事をしている横で
私も心の中でトリビアのボタンを連打し
ジュネーブに着いて早速確認してみる。
と、あった!
赤いハートの振動するボタン!
何個か信号のところで確認してみると
全部に付いていて、ちゃんと青の間は振動している。
しかも誰も見ないボタン機の下で
唯一それを利用する人たちは盲目なのに
赤いハートにするなんて。
何かホッコリ。
(ハートの尖ってる方向の信号が青という意味)
(ハートの尖ってる方向の信号が青という意味)
その後ウィーンのボタン機の下もチェックしてみたら
似た様なものが付いていたけど
こんな赤いハートでは無かった。
と、ガッツリ盗み聞きをしながら電車に揺られている間に
ウトウトと眠くなってしまい、
おじさんの肩に寄っかかってはいないものの
おじさんの方向へ頭が傾いてしまっていたらしい。
おばさま達がそれを見てクスクス笑っている声で
ハッと意識が戻り、目はつぶったまま頭だけ元に戻した。
おばさま達が「中国人のいい友達が出来たわね」
的なことを言っておじさんを茶化すと、
おじさんが「分からないよ、日本人かもしれないじゃないか」
と返事をしている時には
すっかり眠気も覚めてしまったのだけど
小っ恥ずかしくて話が終わるまで寝たフリをしてみた。
そんな小話。
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