Wednesday, 3 June 2020

ジャパニーズ ポロ子



私は生まれも育ちも東京で、
とは言え田舎の方なので、
田んぼや緑と住宅街に囲まれて育った。

でも、生まれてから31年間は
カメムシというものを見たことがなかった。

初めてカメムシを見たのは、
ブダペストの自宅で、
掃除しても掃除しても出てくるし、
(改装しているけど共産時代の古いアパート)
よく、ポックリ逝ってしまわれているのを見かけるので、
心の中で「ご臨終ムシ」と呼んでいた。

暫くして、
ブダペストで会った日本人の友人に
それがカメムシだと聞いて初めて
「ご臨終さん」がカメムシだと知り、
その後、職場のハンガリー人と話していて
それがハンガリー語で
何とも可愛らしく「ポロシュカ」という名前だと知った。

知ったからには「ご臨終ムシ」はめでたく、
「ポロちゃん」とか「ポロ子」と呼ばれるようになった。
(私からだけだけど)

昨日、久々に会社に行って、
家について鞄を見てみたら、
懐かしい形の物体が鞄に付いているのが目に入った。
そう、日本人のポロ子。

私は虫が嫌いなので、本当は気持ち悪いんだけど、
なんか懐かしいのと、日本で初めて見たのと、
一人で笑いながらティッシュで優しく包んでお別れ。

ハンガリーではアジアから入ってきて大繁殖したらしく、
会社の壁とか一面ポロちゃんだらけで
結構グロい感じだったな、と一年ぶりに思い出した。

ハンガリー人は窓開けるのが好きで、
常にオフィス内にポロ子が二人くらい飛んでいた。
(オフィスは極めて清潔です)

日本人の上司が、
割とみんな真剣に仕事している時に
いきなり紙を丸めて作った棒で
床や机を「バンっ」と叩くので
周りが「あのおじさん何やってるの?」的に固まっていると、
どうやらニュースで
「ポロシュカの対策としては、ひたすら退治していくしかない。」
的な専門家のコメントを聞いたらしく、
上司自ら体現することにしたらしかった。

ハンガリー人もポロ子は気持ち悪いと思っているらしく
そんな話もよく出たけど、
キリスト教だからか、やっぱり生き物に対しては感覚が違うようで
上司の冷酷な叩き方に、ドン引きしている雰囲気が漂っていた。

漂っていたと言えば、
よくポロ子の香りはパクチーと言われているけど、
私がその上司が残虐したポロ子の香りらしきものを感じた時、
これまた言い方が悪いけど、どちらかと言うと
「不治の病にかかった病人の匂い」だと思った。

そんなこんなで、
昨今のハンガリーに滞在している/していた人にとって
ポロ子とは切っても切れない存在であり、
常に何かしらの話題を提供してくれる存在だったなと
ジャパニーズ ポロ子の、ハンガリー ポロ子に比べると
ひっそりとした存在感を目撃して実感した。












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